パリ見学に子供4万人を招待

パリ ― 思い出の夏休み 8月19日

今朝のラジオの、ちょっと心温まるニュース。

本日パリに、4万人の子供達が集まるらしい。子供の大半はフランス全国から、うち約3000人は仏国外のヨーロッパ諸国からやって来た少年・少女たち。

この冒険に参加するのは、夏休みの間、あまりどこにも行けない低所得家庭の子供達だ。彼らは今日一日、パリで思いっきり夏休みを楽しむ。

ルーブル美術館も、ベルサイユ宮殿も、国立競技場も、今日は子供のために貸し切り状態になり、お昼はエッフェル塔のふもとに広がる公園に子供4万人と付き添いの人たちが集結して大ピクニックをする。そこに200人ほど大道芸人もやって来て芸を披露したり、空に風船を放ったり、セーヌ川沿いに夏季限定でできたビーチ(Paris Plage パリ・プラージ)でスポーツを楽しんだり、宝探しをして過ごすらしい。

これはSecours Populaireという民間団体が考案・企画した休日で、名付けてla journée du Secours Populaire。この団体は戦後以降、このような小旅行を毎年催している。

こんな大掛かりな催しを考案し、実行する人たちの努力を思うと、気が遠くなる。連絡やメールに費やす膨大な時間。経費や交通手段やボランティアの手配。ランチの手配。休憩やトイレの時間。道中、数知れないハプニングが起こるだろう。

普段、この国に住んで、フランスを「チャンスの国」だとか、「希望の国」「自由の国」「気前のええ国」とか、感激したり感謝したことは、ほとんどない。が反対に、お金、権力、コネを持った人たちに、なあんて有利にできた国だろう、「なんちゅう不公正!」とびっくりしたりすることは、多々ある。

でも同時に、フランスは、私にとって「国境なき医師団」の国であり、「心のレストラン (les Restos du Coeur)」で広く知られる国民的コメディアン、コルシュ (Coluche) を生んだ国であり、貧窮者救済に一生を捧げたアベ・ピエール神父(Abbé Pierre)の国でもある。彼らのように有名でなくても、小さな村にも、ゆたかな知性とおおきなハート、独創的な気概を持ったリーダーたちがいて、人のために働いてたりする。そうゆう隠れたヒーローやヒロインが存在するところに、今日のような組織的なイベントを可能にしてしまうところに、フランスの底力を見る。

国籍は違うが、ある友人も互助団体を通じて同じような催しに参加したらしい。子供の頃に、両親の事業が破産して、富裕層家庭が最低所得家庭になり、毎日の生活だけで精一杯で休みどころではなかった。15歳の夏休み。この人は午前2時に夜行列車で出発して、スイスで丸一週間過ごしたらしい。思春期の子供にとっては、未知のスイスを「発見する」ような気持ちだったそうだ。

今日、ルーブルに招待された子供達の中で、もしかしたら美術に関心を持って将来アーティストになったり、あるいは今日の旅の体験を作家として書く人が現れるかもしれない。今日の遊歴は大人になってからの旅行や挑戦にも、おおいに影響するだろう。

今日フランスは、全国的に晴れ。4万人の子供達を歓迎するような、パリの快晴の空。

青空に舞う風船のように、子供達の自由な可能性がふくらみますように。

 

Picture: courtesy of Christophe Eyquem under the Freemage.fr Art Libre license

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