このコミュニティーについて

このソーシャル・イシュウ(社会問題)のサイトは、社会科学を中心に(バーチャル実験室などを利用しながら)研究を行ったり、同時進行で調査作業をしたり、討論したり、共に学び、成長していく協働のためのオンライン・コミュニティーです。

このコミュニティーが取り組もうとしている問題は?

このコミュニティーを立ち上げるにあたって、4つの問題解決に焦点をあてました。

  1. 距離的に離れた場所にいながら学術テーマを共有する研究者たちが、効果的に連携・協働研究できるようにするにはどうすればいいか?
  2. 研究をめぐり討論への参加を呼びかけたり、個人のインプットを促がすためにはどうすればよいか?
  3. 異なる社会・文化背景において比較研究する場合、信頼できる確かな情報を収集するにはどうすればよいか?
  4. 諸調査の分析結果や新しい知識などを、より広く伝播するには?

問題解決へ向けての具体的な取り組みは?

上の問題に取り組み、個々のコミュニケーション手段を充実させるために、私たちは「ソーシャル・イシュー」というオンラインのコミュニティーを立ち上げました。この共同体では科学的な協働活動の振興、また旬をとらえた社会問題に関する意見交換を行ったりなど、共同活動体と成長していくことを目的とします。このサイトではバーチャル実験室、多国語仕様、協働作業などの機能が利用できます。福祉経済学、政治・政策、心理学、社会学など多岐にわたる分野について、互いに触発されながら学びあえるようにと願っています。

ソーシャル・モデリングとは?

モデリングとは実際の現実を、コンピューターでプロセス可能な表示に置き換えることです。つまり概念がコンピューターを通じて処理可能になることです。たとえば、高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)をモデル対象として見るならば、多様な面から(健康、公共交通便、ホーム・ヘルプなど)考察することができます。ですから現実をモデリングすると、その要素や側面を情報として処理し、比較できるようになるわけです。

他のどのオンライン・コミュニティーと違うところは?

  1. 1)まず第一の特長は、多国語であることです。設置されたバーチャル実験室では、同時進行でさまざまなモデルで協働作業ができるようになっています。ここではワーク・フロウエンジン、翻訳機能、バイアス探知、インテリジェント・フォーラムなどの機能を組み入れています。
  2. 1)この共同体は最新の道具を備えています。このテクノロジーはインターネットでの研究調査などで、すでに世界的に認められたものでOECD加盟国で2009年に行われるPISA(生徒の学習到達度調査[読解力・数学など])やPIAAC(成人能力の国際評価プログラム)または、全米の教育進行評価などにも活用されていきます。このコミュニティーではこれらのテクノロジーをまずは社会科学用に調節させながら、より多くの人たちが利用できるように運営していきます。
  3. このコミュニティーはモデリング、アンケート調査の作成、調査の実施など、柔軟性と協働性が優れている点が特長です。

    どうして「今」なのか?

    最近までのテクノロジーには限界がありました。近年、セマンティック・ウェブなどの開発により、われわれ人類とインターネットの関係が大いに飛躍し変化をとげました。このコミュニティーではこれらの最新の技術をいかすことで、科学的な協働作業の振興だけでなく、地球規模の諸議論に一般の人たちも積極的に参加できるようになりました。ここで使用されているテクノロジーは2008-2009年冬にオープン・ソースとなる予定です。


    以下の説明は、2007年の国際会議で発表したこのコミュニティーに関する論文からの抜粋です。

    1.  はじめに・・・「社会科学の実験室」とは

    「実験室」という言葉の定義は時代と共に進化し、いくつもの意味をあわせ持っている。ミリアム・ウエブスター辞書によると、「実験室」とは「実験、観察、または実証研究などを行うための場所である」と定義しています。ケンブリッジ上級学習辞書は、これに「教える」という一面を加えています。いずれにせよ、これらの定義によると、実験室は適切に設計、整備されている必要があるといえます。

    私たちが考える定義は実験室の現実を知る人たちには、やや単純化したもので、また実際の実験室を知らない人たちには曖昧なものかもしれません。加えるなら実験室とは、実験者にとっても、その実験物(研究対象・実験結果)にとっても安全で管理された場所でなければならないはずです。また、実験室なら、データの収集・解析、さまざまな活動の流れの記録などを行う科学的な装置がなければなりません。ふと思い浮かんだ考えをノートに書きとめたり、他の研究者と話し合ったりする黒板・ホワイト・ボードも必要になってきます。実験室以外にも、同僚たちと新しいアイディアを話し合ったりするコーヒー・ブレイクの休憩所なども要ります。したがって、「実験室」とは公的でもありプライベートなスペースでもあるわけで、さまざまな実務を行っていく場所であるといえるでしょう。

    バーチャル実験室というからには、ある程度の制限やかなり有利な部分も併せ持ち、上述したすべての機能を備えたものでなくてはなりません。これが私たちが考えるコミュニティーの始まりでした。

    ソーシャル・イシュウ(社会問題)は、社会科学を中心に(バーチャル実験室などを使いながら)研究を行ったり、同時進行で調査作業を進めたり、討論したり、共に学び、成長していく協働のためのオンライン・コミュニティーです。この論文では、まずソーシャル・イシュウの基本的なコミュニティーの概念についてふれていきます。次にこのオンライン・コミュニティーの設備、実験室、出版設備、「コーヒー・ブレイク」などについても言及します。また、このシステムが社会科学にどのように応用されるかについても説明しながら、最後にこのコミュニティーの将来的な展望について結びたいと思います。

    2.  コミュニティーの基本的な概念

    2.1 コミュニティーでのエチケットと方針

    この共同体は社会問題に焦点を当てた活動を行い、言論の自由を尊びます。オープンで自由な共同体というのは、必ずしもアナーキーとはいえません。このサイトのメンバーは他者との相違や、それぞれの人の尊厳を認め敬う必要があります。怖れずためらわず、討論や批判をする場所がこの共同体ですが、個人的な攻撃は許されません。

    これらのルールはサイトの出版物にも適用されます。つまり記事などの出版にあたり引用の出典などが明らかでないものは、筆者に表示を促したりすることもあります。またモデレイターは著作権を侵害する文章などは削除することもあります。さらにはネット・エチケットを厳守しない人のアクセスを制限したり停止したりすることもあります。その他、法律に触れる行為や妨害は禁止しています。

    プロ意識を持ち、学術上、正直で清廉な態度を兼ね備えた人たちの参加を歓迎いたします。この会では寄稿者、参加者の加入団体、年齢、国籍、信条、専門、職業などを問わず、あらゆる人たちを歓迎します。最初に起動するバーチャル実験室はケイパビリティー・アプローチに関するものですが、この理論にとどまらず、将来的には貧窮、エイズ、家庭内暴力、人権などなどさまざまな主題に関するものを開設して行く予定です。このコミュニティーには、いろいろな形で参加していただくことができます。ブロッグに書き込んでいただいてもいいですし、また別の人がそれにコメントを書き込むというようなこともできます。フォーラムでは他のメンバーに対して、質問を投稿することもできます。

    2.2 コミュニティー内での利用者の役割

    ビジター(訪問者)はこのサイトでニュースや書き込み、公的フォーラムでの討論、オンライン上の本を読んだりすることができる人たちです。ブロッグにコメントを書き込んでいただいても結構です。モデレイターたちと協力しながら、出版される内容を「クリーン」に保つように心がけていただきたいと思います。

    参加者は、社会問題に関する理論を構築している科学者、「現場」で働く実践者、運動家、非営利団体の責任者、大学院生、政治家、社会科学に関連した当事者の方々です。

    匿名参加者は最低限の個人情報(ペンネームとメール・アドレスなど)で登録していただけます。これらの参加者は公的なフォーラムに参加することができます。参加者が本名を告げると、本人確認をした参加者に昇格することになり、他のアクセスもできるようになります。

    本人確認をした参加者が社会科学の分野に従事する場合、このコミュニティーでブロッグを開設することができます。コーヒー・ブレイクなどや、少人数で招待したメンバーだけが立ち寄れる私的なフォーラムにもアクセスすることができます。

    本人確認をした参加者は研究のためのバーチャル実験室を開設することも可能です。また他の実験室にもアクセスすることもできます。

    モデレイターは記載される事柄が共同体での方針に合うかどうか監視していきます。モデレイターはすべての記事に目を通せないので、出版物の内容をサイトの利用者の皆さんに監視していただいて、苦情があれば寄せていただきたいと思います。

    2.3 コミュニティーの組織的な全体像

    下の図はこのコミュニティーの一部を表したものです。

    チャート

    Figure 1. A simple organizational view of the major components of the Community.

    本人確認をした参加者が鍵つきの「安全なアクセス」からコミュニティーに入ると、個人の仕事場(カスタマー・メイドもできます)に行くことができます。これらの利用者はプライベート・フォーラムや内線のメッセージや招待(研究、論文の編集・見直しなど)を受け取ることができます。またメッセージには公私にわたるイヴェント、バーチャル実験室での日程、役割など、忘れないようにメモが送られるようにもなっています。

    本人確認をした参加者は、ブロッガーとして個人のブロッグを担当できます。(招待されれば別のブロッグにも投稿できます。)またこれらの参加者はオンライン・ブックにも出版できます。

    公的なフォーラムというのは最近ではよく見かけるようになりましたが。いくらアクセスが自由だといっても、質問したりするには最低限の登録は必要です。ここではプライベート・フォーラム(コーヒー・ブレイクなど)やバーチャル実験室などが機能としてはかなり興味深いものといえるでしょう。では、次の章で説明することにいたしましょう。

    3.  プラットフォームの3機能の描写

    3.1 バーチャル実験室

    作成中

    The most relevant aspect of the eLaboratory component relies on a data management system that is able to deal with semantic resources organized as ontologies.  The Research Centre Henri Tudor and the University of Luxembourg have developed this generic and versatile ontology engine named GeneriSSSS (Generis4, Generic Information System, Shape, Share and Store the knowledge) (Plichart et al, 2004).

    The Generis ontology engine was elaborated on top of the W3C's RDFS standard (Brickley and Guha, 2004).  Moreover, the Generis system is designed to be fully modular (each module may have its own type), distributed (modules can be spread over the Web), scalable (a module can manage any number of affiliated modules), and secure.  The system is also multi-lingual and supports localization/internationalization.

    Because of its power, flexibility and versatility, Generis has been used successfully in numerous projects (Latour et al, 2005; Martin et al, 2005; Jadoul and Mizohata, 2006).

    In the social-issues.org environment, Generis will manage modules embarking ontologies used in the various laboratories; these ontologies may be built on top of other frameworks or sets of indicators, e.g. the Capability Approach framework, or the EU Social Inclusion indicators.  Additionally, Generis will host an ontology dedicated to FOAF (Friend of a Friend) (Brickley and Miller, 2005), data set management, and an ontology related to SKOS (Simple Knowledge Organisation System) (Miles and Brickley, 2005).

    SKOS is an XML format designed to conveniently take “snapshots” of the ontologies developed in the labs; by default, only lab directors are allowed to initiate these snapshots.  Snapshots may easily be transferred to any publication.  These snapshots also offer a practical work progress meter.

    The FOAF formalism will help us to create a directory of persons active in a social field.  This FOAF format has the advantage to be readable by machine.  Thus, it will be possible, for example, for a lab director to address this kind of query to the system: “Find all the scientists working on the topic of poverty.”  FOAF is already available in Generis, and has theoretical affinities with social network and other “virtual community” frameworks (van den Besselaar et al, 2005).

    In 2007, Generis will be enhanced with additional internal mechanisms (like the ontology versioning) and some “companion tools”: a workflow management system, an optional private forum entry creation on any resource handled in a laboratory, and an external resources versioning module (Latour and Martin, 2006).

    Besides those improvements, the development of some powerful export/import components should be examined to facilitate the manipulation of qualitative data and quantitative data (connection with R-project ).

    Using the Generis ontology engine, the engineers of the Centre Henri Tudor simply created an ontology dedicated to Computer-Based Assessment (CBA) and a few plugins (self-adaptive HTML forms) offering a graphical user interface tailored to assessment; this was called TAO* (Latour et al, 2005).

    So, each concept of CBA (e.g. a subject, a group of subjects or a test) is articulated inside an action unit called a module; each module is preinstalled with a minimum model (called TAO basic ontology) on top of which the users of the platform develop their own model so that it maps to their own needs.

    In sum, for social-issues.org, Generis is the part of the platform where frameworks dedicated to the study of specific social issues will be modeled, and TAO will offer the best tool for interview question items creation, translation, and reviewing.  Management of the subjects and groups (samples) and data gathering will also be handled by TAO.

    Besides Generis and TAO, some other technical tools are available in each laboratory to record personal notes, to share ideas using a whiteboard simultaneously accessible by all the members of the lab via Internet, to invite and manage the rights of the participants to the laboratory, and so on.

    Another extremely important aspect of the laboratory is security and privacy management.  Thanks to the architecture of Generis, it is possible for the modules used inside of an eLaboratory to be hosted on a computer chosen by the director of this eLaboratory.  So, for example, university X can be part of the Community and use its powerful tools, but still keep full control and exclusive access to their own data.  In this case, the university X is in charge of all data management and maintenance, backup, and security.

    We will now illustrate the whole case in the context of an eLaboratory.  Generis is a knowledge base, or simply a highly flexible database that allows users to describe any concepts and to interconnect them the way they want.  For example, with Generis, a user can create two concepts, “person” and “mobility capability,” and model a link called “has” between these concepts.  But this link can also be something like “can live without” – this process is called “modeling.” 

    With these links, the user can create a concept named “number going out in one week” and this concept can be qualified as an “indicator.”  As TAO is just a specialization (a sort of fruit, dedicated to assessment) of Generis, we understand that TAO shows all the same functionalities as Generis.  Thereby, since they share the same functioning, it is possible for us to create a question, in TAO, that will be connected to the indicator concept, described in Generis, that is itself related to the link “has.”  The result of this question can show the relevance of our indicator as well as the effectiveness of the “has” link in the real world.

    3.2 出版機能

    3.2.1 ブロッグ

    技術的に重要な点は、ブロッグは原則として何語ででも書けます。アラブ語(右から左へ)中国語、英語(左から右へ)、フランス語、フィンランド語、日本語、スペイン語などで書き込んでもかまいません。ですが、英語以外の記事には、短い英語要約文を書き添えていただくことになります。これはビジターによる検索結果をより充実させるためです。コミュニティーの評判・名誉を傷つける個人的な攻撃、ほのめかしなどには、モデレイターや技師が見張りをしています。

    3.2.2 本

    本人確認をした参加者はオンライン上で本を書くことができます。

    参加者が本人確認された後、本を書きたい場合は、その内容をコミュニティーに送り審査される必要があります。それから本格的な出版となります。

    本の内容や構成に関しては、筆者の責任となります。また出版された内容の翻訳なども、筆者の責任になります。「個人的」な本として出版されたものは、「公的」な本として昇格し、一般に公表することもできます。

    本を出版するにあたり、コーヒー・ブレイクなどの場所でこのイニシアティブについて話しあい、他の人たちの意見や感想を聞いたりボランティアを募るのも(編集者や助手など)ひとつの手です。

    3.3 コーヒー・ブレイクの部屋

    なぜプライベート・フォーラムに「コーヒー・ブレイク」の場と名づけたかと申しますと。それはカフェテリアのように「静止」した場所ではないからです。カフェテリアでは、いったん座ってしまえば人はまず動きませんし、立ち上がってよそに出かけていって話そうともしません。コーヒー・ブレイクというのは、もっとダイナミックで「動的な」場所です。人は(コーヒー)自動販売機の前に立って、次から次へと別の人に会い意見の交換をしあったり、時には別のグループの話を聞いたり、立ち話をしながら動いていきます。いつも話の話題が興味深かったり、自分に関心のあることとは限りませんが、内容はかなり豊富です。これがコーヒー・ブレイクの不思議な威力なのです。

    このプラットフォームの内容は従来のプライベート・フォーラム以上のものを備えています。ここではメッセージも掲載できますし、質問の応答もできます。他のメンバーとも会って「向き合って」対話ができます。

    これらの対話は書き込みでも、話でもできます。将来的にはビデオも備え付けられます。文面での対話やチャートなどはホワイト・ボードなどに保存され、その後も使えます。