ルクセンブルグの魅力

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ルクセンブルグへの通勤者の数は、一日に約20万人。ベルギー・ドイツ・フランスから、国境を超え毎日やって来る人たちが、労働人口の約半数を占めています。金融危機の2008年以降さらに人口は増え続け、この国に住みたい人たちの数も年々増え続けているらしい。

10年ほど前、フランスのメッツからオランダのハーグまで、車で出かけた時のこと。午前6時に、フランス側はすでに交通渋滞。ルクセンブルグを通りぬけ反対車線を見ると、ものすごいラッシュアワーで、ベルギー側から延々と続く通勤車両のテールランプをよそ目に、すいすいと北上していったことがありました。

その渋滞対策として、現在トラムの延長工事が行われ、2020年の春から公共交通は世界で初めてタダになります。横断歩道を渡るときは、交差点にたどり着く前にたいてい車が止まってくれます。まれに横柄な車両に出くわしたりしたら、外国ナンバー(フランスのF)だったりします。

周りの暴風雨が嘘のような、ゆとり感があります。ネオナチの台頭や財政赤字や、セコい社会保障やスト頻発の近隣国をよそ目に、台風の目の中にいるようなルクセンブルグです。ここには書けないようなこの国の闇も見ましたし、不動産は高いけれども。それでも人々はおだやかで暮らしやすい。EUの本部拠点だけども、自然が楽しめる森の村で、森で出会う人たちとは「こんにちは(モワイヤン)」と声をかけあう和やかさがあります。

もし欧米に永住するとしたら。社会保障制度で北欧を思いつくかもしれません。でも、あそこは冬の日照時間の短さが気になります。若い野心家なら、パリやブリュッセルやベルリンを目指すでしょうが。あすこは税金でごっそり持っていかれます。

さまざまな国で生きてきましたが、ルクセンブルグは私にはパラダイスです。週末なら、駅周辺から車で20分ほどで隣国に行ける便利な国。エコノミー・クラスでも、午前6時でも午後10時半でも、クレモン(シャンパーン)をふるまってくれるのはルクス・エアくらいなものでしょう。

EU28カ国中、ルクセンブルグは社会面では第1位だそうです。物価はパリやベルリンと同じくらいでしょうか。一定の所得以下の世帯は、allocation de vie chèreという扶助を申請すれば受けることができるようです。2018年、一ヶ月の『最低限度の生活費』は一人あたり2002ユーロ、約25万円です。その所得未満の単身世帯には、1320ユーロからの不足分が保障されます。5人以上の世帯の一ヶ月の生活費基準は4805ユーロで、最大2640ユーロの手当が支給されることになります。

現政府は貧困の撲滅をスローガンとしていますが。左派の党 (Déi Lénk) は、2020年までに最低賃金を2381ユーロにすることを目標にしてます。Ministry of Foreign and European Affairs of the Grand Duchy of Luxembourg on Twitter 未来世代のための、国の貯蓄もあります。4500票の市民の署名を集めると、国会で議案を発議することもできます。

昨年、ルクセンブルグでは市民一人ひとりの文化へのアクセスを、人権として憲法に書きこむことになりました (近年スイスでは、自転車へのアクセスを人権と定めるかどうかが、ニュースになってました。ちなみにフィンランドは2010年に、ネットへのアクセスを権利として法的に認めています。同じ改憲でも、他国とのいさかいを権利として憲法に書こうとそそのかす政府とは、天地の違いです)。

ルクセンブルグのアンチ・フラジリティあるいは反脆弱性として、いくつか挙げられると思いますが。一つには連合政権(民主・緑・社会党系)でみんなで話し合い調節しあうこと。政治家やリーダーが悪事をはたらくと、国が小さいから結局バレて、それが票や評価に反映するという点。近所のスーパーで買い物する政治家に話かけれる気軽さ。優雅にレストランで昼食をとる政治家を、白髪のマダムが叱りとばすのを目撃するという点。公用語がフランス語・ドイツ語・ルクセンブルグ語(そして学界は英語も)なので、いざというとき一言語だけを話すことを強要されない点、ドイツ語が出来なければ、別の言語でと、コミュニケーションでも融通の効く点。ベルギーやフランスで報じない原発問題を、ルクセンブルグが無料紙で報じる等など、情報収集や協議もいろんな言語でできることです。(ルクセンブルグ市の広報は、仏語・独語・英語で配布されるのが一般的。なのでルクセンブルグ語を話そうなものなら、すごく喜んでもらえる)

昨年の総裁選の前夜。安倍・石破討論の時に、総理はルクセンブルグに触れられました (NEWS23. 9月17日)。ベッテル氏に携帯番号を教えてもらったとか・・・。思うに、グザヴィエさんは誰にも親切なのでしょう (私たちも友人の元クラスメイトですから、うわさは聞いてます)。わざわざ旧友のお店に行って、ホームレスの人にブーツを買うような人ですから。安倍氏にも優しく接したのでしょう。

昨春、大爆笑したのは、ベッテルさんがある教授に発したという言葉です。「学際的研究に潤沢な予算をつけたのは、トランポリンのように勢いよく弾みをつけてほしかったからです。それなのに。あなた方はこれ幸いとばかりに。ハンモックがわりに費してサボってるんじゃないですかっ」彼の妥当な批判と舌鋒の鋭さに、思わず拍手してました。

小さいながらに、これからも変わり続けるわが国。ルクセンブルグの日本人人口は約600人(2017年末)とか。日本人美容師さんやラーメン屋さんが増えるといいなあ。

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