属国劇場 ~ 「あれから桃太郎は」

Momotaro

かつて、神国日本をささえた価値体系があった。国の起源を「神話」にもとめた国体論。国家神道。天皇の神格化。天皇を家長とする家族国家観。「皇祖皇宗のために命を捨てよ」と説いた教育勅語と国民総動員体制に盾つかない従順な人づくり。玉砕を強いる人命と人権の軽視。そして学問軽視。

(国のかじ取りをする人が条理明晰な説明ができずに、中身なし・専門知なしの反論だと外国人に指摘されて、逆ギレしたり開きなおったり。今も、あまり変わってないのでしょうか。世界の常識では、「国を愛し、誇りに思う心をはぐくむ」教育と、国際人権規約に抵触しそうな法案を通そうという国は、矛盾があるとみなされる)

「臣民」の童心教育で教訓性や強制力をすりこむのに、こどもたちからひろく愛された桃太郎ほど最良の教材はなかった。国際連盟から脱退を余儀なくされた日本で、その英雄の暴力性は増し、いつしかハチマキの文字も「日本一」から「世界一」に変わっていた。

戦後、占領軍はさまざまな分野の専門家を集め、日本を骨抜きにするための画策を練った。社会科学者たち(ルース・ベネディクト含む)は、「世界に類をみない特別な国」「日本人らしさ」「日本人の誇り」という偏狭な選民意識に目をつけた。それを逆手にとりアイデンティティとして宣揚すれば、日本の国際協調を困難にし、アジアで孤立させることで、常に宗主国のご機嫌をうかがう属国の思想的な下地になると、彼らは70年前に見抜いていた。

(こういうのって、どこかで聞いたことがある。「あなたの羽根はスゴくきれいだけど、さぞかし声もいいんでしょうね。声も聞いてみたいなぁ~」おだてられ、くわえていたチーズを落とすカラス?イソップ物語でしたっけ)

属国には支配・従属関係にある二カ国が、不可欠となる。双方、両国からの参加者がないと属国は続かない。そこが一個人や少数派さえいれば、一国でもなりうる独裁国とのちがいである。

桃太郎噺はGHQの検閲処分をうけた。また「鬼ヶ島」あらため「ならず者国家」への攻戦も、それからは属国が足場となり、そのことは自国民に知られないよう隠された。

いまや属国を牛耳るのは、「桃太郎」の見よう見まねをする「からくりモモ人形」である。ゆえなく人を見くだしたような態度は、その所以にある。実は、彼らは実効支配者の命令に従い、皆からかっぱらった宝物をあまさずさしだす家来である。

後ろだてになる属国劇場のからくりがばれたら、軍国路線で権力をほしいままにしたいイヌや猿やキジのポストもあやうくなる。だから彼らは自国の問題には目もくれず、桃太郎役のどんな言いつけも汲々としてやってのけるのである。「イヌはえさをくれる人の手をかまない」というフランス語の表現があるように。分捕りものをえんやらやって(8兆円の年金はどこ?)。

⎯⎯⎯⎯⎯⎯ そのために多くの政敵の中から、「愛国」や「気高さ」や「誇り」を説くスットコドッコイが重用される。むろん彼らに愛はない。

三島由紀夫は「愛国心には官製の匂いと思い上がりがある」と、言ったそうだ。「愛国」をうそぶき権力を手にした、悪巧者たちの浅薄な狡知をかぎ取ったのだろう。

前回のブログで紹介した「『鬼』は『隠(おに)で姿が見えない意である」という奥泉さんの文章に、ジョージ・オーウェルのことばを連想する。

オーウェルは、「戦い」は実際の戦争でなくても、「仮想敵国」と「戦争状態」の恐慌にあるならば、貧困にあえぎ、かつ孤立状態にある国のディストピアは続いてゆくと記している。人々は知らぬ間に目隠しされ「戦場」に連れていかれる、軍馬とかさなる。

最近の北朝鮮脅威論、「世界の真ん中で輝く日本」スゴイ論、貧困・格差、教育勅語擁護、秘密保護法・共謀罪、歴史修正主義、桃太郎CM人気など、これらの事象の関連性がとても案じられる。

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